2019/09/03

気象病には耳栓が良い?!酔い止め薬より耳栓派の理由とは

耳栓のイメージ

雨が降る前や台風が近づいてきたりすると、めまいや頭痛などが起きる「気象病」。
一説では、日本に気象病の患者は1,000万人いるともいわれています。

ご自身で気象病だという自覚のある方は、それぞれ、頭痛薬や酔い止め薬、
ツボ押しなど自分なりの対策法を持っておられるかもしれません。

実は、気象病に耳栓が効くということをご存知でしょうか?
今回は、なぜ耳栓が気象病に効くのか、その理由に迫ります。 

【目次】

【気象病になるメカニズム】

気象病の詳細なメカニズムは明らかになっていませんが、気象の変化により、気圧、気温、湿度などが急激に変化することに対し、体が対応し切れないことが原因だといわれています。 

内耳は気圧の変化などを感じ取るセンサーと考えられていますが、そこから受けた信号により自律神経系のバランスが乱れることで、頭痛やめまい、吐き気などが起きるとされています。

【酔い止め薬による気象病対策】

乗り物酔いが起きるメカニズムは、乗り物の振動が内耳のリンパ液を揺らし、視覚からの情報と内耳からの情報が矛盾することで自律神経が混乱し、副交感神経が刺激されることで起こります。 

酔い止め薬は、成分によって働きは異なりますが、脳の嘔吐中枢や自律神経反射を抑制したり、内耳の血管を拡張させて内耳のバランスを改善したりすることで酔いを止めます。 

このことから、乗り物酔いと同様に内耳への刺激から自律神経のバランスが崩れて体調が悪くなる気象病にも、酔い止め薬が効くといわれています。 

【酔い止め薬よりも耳栓派の理由】

ただ、酔い止め薬も薬なので、やはり副作用の心配はあります。
酔い止め薬の主な副作用は眠気をもよおすことです。

 一方、耳栓が気象病に効くメカニズムは、耳にかかる気圧差を緩やかにすることで内耳にかかる気圧の変化を和らげるというものです。
もちろん、副作用などの心配もありません。
耳栓を使用する際は、安全のため、外出時などは避けましょう。

【気象病対策でおすすめの耳栓】

耳栓には、さまざまなタイプがあり、スポンジ(ウレタンフォーム、弾性発泡ポリマー)、シリコン、シリコン粘土などの素材があります。
このなかで気象病対策に向いているのは、低密度ポリエチレンやシリコン素材のものです。旅行グッズ売り場で、飛行機用耳栓として売っています。
急激な気圧変化に対応し、耳の痛みや違和感が出ないような構造になっています。

【気象病の自覚がある方は、耳栓を持ち歩いてみては?】

気象病の症状が出るきっかけとなっている、耳への気圧差を和らげてくれる耳栓。気象病のある方は、試してみてはいかがでしょうか。
ただ、耳栓を使い慣れていない方は、最初のうち違和感を覚えるかもしれません。

 頭痛薬や酔い止め薬など、これまで実践してきた対処法があれば、併用して様子を見ながら効果を検証すると良いでしょう。

監修:舟久保恵美 医学博士
天気と痛みの関係の謎を解くため名古屋大学大学院医学系研究科で研究し医学博士号取得。
専門は生気象学。健康相談・保健指導にあたりながら、気象痛のメカニズム、低気圧による痛みの悪化のメカニズム、内耳と気圧の関係について研究している。