NO.70 熱中症に対応できる身体づくり

夏・ひまわり

今年の夏は「命にかかわる危険な暑さ」といわれるほどの気温にまで上がっています。40度を越えるところも多く、屋外に出たとたんに汗が吹き出します。

インド人の方が、「日本の方が暑いから自国に帰りたい」と言っているとも聞きました。日本の亜熱帯化が進んでいるような感じがしますよね。

いま、世界中で異常気象が起きている

この異常な気候の変化は日本だけでなく、世界中にも起きています。

今年に入ってアメリカが世界で2番目に低い気温を記録し、オーストラリアでは高温によってアスファルトが溶けるという事態が起きています。アフリカのアルジェリアでは、7月5日に51.3度を記録。北半球では山火事も多発しています。雨が降れば洪水になり、竜巻や突風も昔よりあきらかに増えています。

だんだん両極端な気候になりつつあり、地球はどこに向かっているのかと心配になります。自然の猛威の前では、人間はちっぽけなものだと痛感するようなニュースが増えています。とはいえ、この地球で暮らして行くためには、環境の変化にもついていかないといけないように感じます。

上昇した体温は自律神経の働きで下げている

人間の身体には適応力が備わっています。本来であれば、いろいろな環境についていけるはずなのかもしれません。しかし、この極端に変わりつつある現実では、身体がついていけない人が増えてきています。仕方がないとあきらめていても良いのでしょうか?

気候が変化している原因はいろいろとありますが、ここで熱中症について考えたいと思います。

私たちの身体では、常に熱が作られています。通常は、熱を身体から発散することで内部に溜まらないようになっていて、体温が36~37度に保たれています。激しい運動をしたり、高温の場所にいると、末梢血管を拡張させて血液を多く流すことで外気に熱を放出して体温を下げたり、汗の蒸発によって体温を下げようとします。

これらは自律神経の働きで行われています。この調節機能がうまく働かなければ、体温が上昇したり、汗による塩分の低下で筋肉のけいれんなどが起こります。これが熱中症といわれる症状になります。

熱中症になりやすい人の特徴とは・・・?

熱中症になりやすいのは高齢者や幼児だとよくいわれますが、今年の夏に搬送されている人の中には若い人もおられます。

私たちの身体は60%が水分でできています。そのなかで一番水分を溜めてくれているのが、実は筋肉なのです。ぽっちゃりしたお腹にはたくさん水分が含まれていそうな気がしますが、脂肪にはほとんど水分は含まれていないそうです。

ということは、筋肉量が少ない人は、体内の水分量も少ないということになります。お年寄りは筋肉量が少ないため、水分量も少なく、熱中症のリスクが高いといえます。ダイエットのために食事量が少なかったり、バランスの良い食事ができていない若い女性たちも筋肉量が低下しています。

また、お薬を長期で飲まれている方も熱中症リスクが高まります。降圧剤を飲まれている方は、塩分を控えている方が多いと思いますが、汗で塩分が失われると、足がつったり筋肉痛の症状が出たりします。また、熱を下げるために身体は血管を拡張しますが、降圧剤を飲まれているとさらに血圧が低下しやすくなり、立ちくらみを起こしやすくなります。夏は、塩分も適度に摂取する必要があるということです。

山田有希子(薬剤師・サプリメントアドバイザー・ナキュア代表)
薬科大学卒業後、薬剤師や美容アドバイザーなどを経て2001年
サプリメントショップを開業。個人顧客からメーカー企業まで幅広く事業を展開。
日本ニュートリション協会会員。