NO.69 きれい過ぎが病気を引き起こす?
体を清潔に保つことは、病気を寄せ付けないために大切なことですが、きれいにし過ぎることがかえって病気を引き起こしてしまうこともあります。
子どもたちが泥まみれになって遊ぶ時代は終わってしまった
私が子供の頃は、夕方にテレビの子供番組はなく、ビデオもなかったので、学校から帰るとランドセルを放り出して外に遊びに行くのが習慣でした。日が暮れるまで、ドロドロになって遊んでいたように思います。
今の子供たちは塾や習い事に時間を取られ、外で遊ぶ時間はが少なくなっているように思えます。たとえ外で遊んでも、泥まみれになることをお母さん達は良くは思わないのではないでしょうか?
息子がまだ1歳ちょっとの頃、住んでいた大阪で近所の公園に連れて行くと、敷物の上に子供を座らせてスコップやバケツはすべて毎回きれいに洗って消毒して与えているお母さんがいました。
「スコップは敷物の上では使えないのにな~」と思いながら息子を砂場に連れて行ったことが思い出されます。
菌が免疫力を高めてくれる
その後、広島へ転勤になりましたが、広島では大阪とは違ってまだまだ鼻水を垂らしている子供や、ドロドロになって砂場で遊んでいる子供たちがたくさんいました。
私たち家族が暮らしていたマンションには、息子と同じくらいの子供がたくさんいて、いつもにぎやかに遊んでいて、子供がお菓子を落としても「3秒ルール!」などと言いながら平気で拾って食べていたように思います。
大阪に戻ってきた時に、息子がそれを街中でした時には、顔から汗が吹き出しましたが(笑)。
子供たちは外部からの菌を少しずつ取り入れながら、免疫力を強くしていきます。外部の菌は悪い菌ばかりではなく、常在菌と共存することで強力な菌から体を守ってくれているものもあります。
子供の頃に除菌や殺菌をしすぎることで、免疫の力が未発達の状態で大きくなってしまうと指摘されています。それが、アレルギーや喘息などの原因になっているのだとか。
手を洗い過ぎると、正常な皮膚を作ろうとする体の機能を邪魔してしまう
『手を洗いすぎてはいけない』という本を出されている藤田紘一郎先生がおられます。手を洗い過ぎると風邪をひきやすくなると書かれています。
一般にはインフルエンザの時期などは、とくに一生懸命手を洗うことを薦められます。「帰ってきたら手洗い、うがい」が合言葉のようになっていると思いますが、それがかえって風邪をひきやすい体を作っていることになると主張していらっしゃるのです。
清潔にすることは大切ではありますが、現在はその意識が過剰になり過ぎているともいえます。アトピーは、発展途上国にはない病気だとも聞きます。洗い過ぎない、きれいにし過ぎないことが、自らが健康な皮膚を作る力になるのです。
体が本来持っている「正常な皮膚を作ろうとする」機能を、洗いすぎることで邪魔しているのかもしれませんし、これが免疫力を低下させているのかもしれません。
山田有希子(薬剤師・サプリメントアドバイザー・ナキュア代表)
薬科大学卒業後、薬剤師や美容アドバイザーなどを経て2001年
サプリメントショップを開業。個人顧客からメーカー企業まで幅広く事業を展開。
日本ニュートリション協会会員。