NO.66 花粉症になってわかること
今年、初めて花粉症の仲間入りをしたという方も多いと思います。
今年は特に花粉の飛散量が多いとのことで、今年は例年になく症状がひどいという方も増えています。
風邪と花粉症の見分け方は…?
咳や鼻水、熱といった症状が出れば、ほとんどの方は風邪かと思うかもしれません。
風邪の症状で病院を受診し、風邪の薬を処方してもらって飲んでも、なかなか治らないという方が結構おられます。
花粉症といえば、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、目の充血、涙の症状が中心だと考えてしまいがちです。
もちろん、代表的な症状ではありますが、それ以外に発熱、咳、関節痛、胃腸の不調、体のだるさ、皮膚のかゆみ、集中力の低下、イライラなど、一見すると花粉症とは思えないような症状もあり、非常に多岐にわたるのです。
風邪であれば薬を服用すれば数日で症状がおさまりますが、花粉症の場合は花粉が飛散している間は症状がなかなかおさまりません。
風邪の場合の鼻水は、数日すれば黄色い鼻水に変わりますが、花粉症の場合は透明で、無意識のうちに垂れてくるような水っぽい鼻水です。
また、花粉症の発熱は微熱が続くことが多く、高熱になってくれば風邪の可能性が高いと思われます。
アレルギーと腸の意外な関係
患者さんのなかには、咳こみがひどくて喘息のような症状に陥っている方もいます。 鼻腔(上気道)と気管支(下気道)はつながっています。花粉が鼻腔に入り炎症を起こすと、気管支まで細胞の炎症は広がって行く場合があります。
気管支にも炎症が広がり、ひどい咳が出る場合には、抗アレルギー薬や点鼻薬では症状がなかなか回復しないこともあり、ステロイド剤を併用しないとならない場合もあるでしょう。
私たちの体には、体に侵入した異物を排除しようとする働きがあります。これが免疫力です。この免疫反応が過剰に現れることをアレルギーとよび、花粉症もその一つにあたります。花粉症を引き起こす異物は花粉ですが、都会では排気ガスやPM2.5などの化学物質が花粉にくっつき、さらに強い症状を引き起こすとも考えられています。
また、アレルギーを持っている人の腸は非常に汚れていると、腸の権威のドクターである新谷弘実氏は言われています。胃腸内視鏡で30万人以上の腸内を見てきた結果、若さも健康も「腸内環境」で決まるのだそうです。
腸は最大の免疫器官だと考えられています。免疫力が高い時は、腸内細菌のバランスが整っています。ですが、ストレス、偏った食生活、生活習慣の乱れ、便秘などで悪玉菌が増え、腸の環境は悪くなります。また、運動不足も腸の働きを低下させるため、腸内環境の悪化を引き起こし、免疫力の低下やアレルギーにつながりやすくなります。
薬を飲むだけでは根本的な花粉症対策にならない
花粉症は体の内部に何らかの不具合があり、悲鳴をあげている証なのかもしれません。
そうなれば、薬を飲むだけでは治りません。薬は症状を抑えるに過ぎないため、体自体を改善しなければ、悪化することはあっても改善することは難しいと思います。
現代には、加工食品などが多く出回り、簡単に食事がとれます。手軽に食べることができる半面、添加物を非常に多く体に取り込むことになります。そのため、体は解毒や排泄のために必要以上の負担を強いられ、本来の体を正常に動かすための力が不足してしまうのです。
ストレスは血流を低下させ、それでなくても必要量が摂取できていない栄養分でさえ、体中に行きわたらせることができなくなります。運動不足は臓器の停留につながり、便秘や胃の不調、関節痛などを引き起こします。
花粉症の皆さんは、食生活や生活習慣などに問題はありませんか?体のことを考えて、気をつけていますか?自分の体は自分でしか守れません。花粉症は、体の根本を見直すことが必要であることを教えてくれているのかもしれませんね。
山田有希子(薬剤師・サプリメントアドバイザー・ナキュア代表)
薬科大学卒業後、薬剤師や美容アドバイザーなどを経て2001年
サプリメントショップを開業。個人顧客からメーカー企業まで幅広く事業を展開。
日本ニュートリション協会会員。