NO.60 身近にある認知症の原因
少子高齢化が進み、それに伴って認知症患者についてクローズアップされる機会も増えてきました。
ただ、認知症の原因は加齢だけではないようです。今回は、身近にひそんでいる認知症の意外な原因について考えてみます。
認知症とは
認知症とは、脳や身体の疾患を原因として記憶・判断力などの障害が起こり、普通の社会生活が営めなくなった状態であり、病名ではありません。
よく耳にするアルツハイマー病とは、認知症を引き起こす最も多い疾患です(60%以上)。そのほかに認知症を引き起こす疾患として、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、ピック病、脳血管障害などがあります。
認知症の人数は、1995年には126万人、2000年156万人、2010年226万人、2015年262万人と推移ししてきました。2025年には470万人達するともいわれています。
医療が進歩していても、癌と同じようにどんどん増え続けているのが認知症です。
「最近、物忘れが多くて~」と嘆く方もおられますが、何を食べたかを思い出せないのは加齢による物忘れで、認知症は「食べたこと自体」を忘れてしまいます。このように認知症と物忘れは異なります。
身近にひそむ認知症の原因
「人工甘味料を含む炭酸飲料は脳卒中と認知症のリスクを高める可能性がある」という長期的な追跡調査に基づく研究結果が米国で発表されています。
人工甘味料といえば、砂糖よりもかなりカロリーが少なく、生活習慣病や肥満を気にする人にはうれしい甘味料だと思います。
ショ糖の数百倍の甘さがありカロリーは少なく、わずかな量で甘さを出すことができるため、企業にとっても価格を抑えられ使いやすい材料ともいえます。肥満を気にする多くの人が、カロリーゼロと書かれてあれば飛びつくのも理解できます。
ゼリーなどの甘いおやつでカロリーゼロの表示をよく目にします。その原材料を見ると、アスファルテームやアセスルファムKなどの人工甘味料の記載がとても多いのがわかります。
缶酎ハイなどもカロリーゼロが主流になっているようで、カロリーゼロでないものを探すのに困るくらいです。缶コーヒー、コーラ、炭酸飲料などの清涼飲料水もカロリーゼロが主流です。
ただし、カロリーゼロだからいくら飲んでも太らないと考えるのは、リスクが高すぎるかもしれません。
また、人工甘味料なら血糖には影響がないと思われてきましたが、インスリンの血糖を下げる作用が鈍くなり、糖尿病を誘発する可能性があることがわかっています。
血圧を下げる薬も認知症リスクを高めている
現在の血圧基準は、収縮期血圧を130mmHg未満、拡張期血圧を85mmHg未満に設定されています。1997年では、上が160mmHg 下が95mmHgでした。どんどん下げられている血圧の基準。これで降圧剤の売上は何倍にもなっているのだとか…。
年齢とともに血管の弾力や柔軟性は低下していき、末梢まで血液を流すために血圧を高くする必要が生じてきます。それが、降圧剤を飲んで下げることで、末梢までの血液の流れを悪くしてしまいます。今や50歳以上の4割近くが降圧剤を飲んでいるといわれているのです。
一時、降圧剤市場トップのディオバンを製造販売するノバルティスファーマ社が、販路拡大を目論んで臨床試験データを改ざんしていたことが発覚し、高血圧の薬への信頼は地に堕ちました。にもかかわらず、降圧剤を飲む人は減るどころか増え続けています。なぜ降圧剤を飲むのかと聞くと、脳卒中や心筋梗塞が怖いからという答えがよく返ってきます。それだけ私たちには「高血圧=脳卒中、心筋梗塞」というイメージが刷り込まれています。
血圧を上げて血流を促し、小さな血栓なども押し流していたところが、血圧を下げることで血液の流れが悪くなり、血栓を押し流せなくなります。血流低下で脳内に酸素や栄養が生き届かなくなり、認知症のリスクを高めてしまうことになります。血流低下は、白内障患者の増加にもつながるとも考えられています。
血圧を薬で無理に下げることで、長い年月をかけて認知症になる人が相当いると考えられるのです。長い時間をかけてゆっくりと進行していく「副作用」。週刊誌にも取り上げられていて、読まれている方も多いと思います。すぐにわかる副作用なら意識はするけれど、ゆっくりなら副作用だとは気づかないものです。
すぐに何かに頼ろうとすれば、必ずリスクはついて来ます。自分の体を守るのは自分しかいません。選択する、見極める目を持つことが、これからはますます必要になると考えます。
山田有希子(薬剤師・サプリメントアドバイザー・ナキュア代表)
薬科大学卒業後、薬剤師や美容アドバイザーなどを経て2001年
サプリメントショップを開業。個人顧客からメーカー企業まで幅広く事業を展開。
日本ニュートリション協会会員。