NO.52 食べ過ぎは免疫力を低下させる
昔から、腹八分目や小食が長生きする秘訣といわれるように、お腹いっぱい食べないことが健康で若々しくいるためには必要だと考えられます。
この飽食の時代、まわりには美味しいものがあふれていて、つい食べ過ぎてしまうことも…。「美味しいものを我慢するのは嫌だけど、ダイエットはしたい」と矛盾した考えを持っている人も多いと思います。
私の兄も、「食べることしか楽しみがない」といって、お腹のでっぱりも気にせず、大食も間食もなかなか止められないようです。そして検査で引っかかって薬を飲むといったよくあるパターンに陥っています。
「薬のお世話にならないような体になりたい」と言っているにも関わらず、自覚症状がないために、一向に食事を減らそうとしません。
では、大食がなぜいけないといわれるのかを考えてみたいと思います。
食べ過ぎると、マクロファージに余計な仕事をさせることに!
白血球といえば、血液中に存在し、私たちの免疫に関わる細胞です。白血球には好中球・好酸球・好塩基球・リンパ球・単球があります。
好中球は、白血球全体の50~70%を占めており、細菌などの感染に対処します。好酸球、は寄生虫やアレルギー反応の制御に関係し、好塩基球は、血液の血管内凝固を防止しています。リンパ球はあらゆる異物に対して攻撃し、特にウイルスなどの小さな異物に対応しています。単球は、白血球細胞の中で最も大きく、分化してマクロファージになります。マクロファージは、死んだ細胞や対処しきれなかった細胞や破片などを片付けてくれ、第一線で戦ってくれる細胞です。
マクロファージが強い力を発揮していると、その他の細胞が働かなくても早い段階で異物を処理してくれることになり、病気になりにくいといえるのです。
このマクロファージは、細菌などの異物を処理してくれるだけでなく、コレステロールなども処理して分解して、血管が詰らないようにお掃除をしてくれています。
必要なエネルギー分以上に食べ過ぎてしまうと、余分に溜めこんだ血中の脂の掃除が忙しくなりそれに労力を費やしてしまうことになります。
肝心の細菌などの外敵と戦って処理する力がおろそかになってしまうのです。
現代人は、体の機能を無視して食べ過ぎている
小食にすれば食べ物の処理をするお掃除の労力が少なくなり、異物処理に力を発揮できることになり免疫力は上がるのです。1日青汁1杯で元気に暮らしてられる方や、食べ物自体を口にしないという方までいます。
それは極端な例ではあると思いますが、現代人は体の機能を無視して、食べ過ぎているのかもしれません。
このように大食は肥満の元であり、高脂血症や糖尿病のリスクを上げるだけでなく、免疫力の低下にもつながってしまいます。
小食やプチ断食が良いといわれる所以は、体の老廃物を免疫細胞がどんどん食べてくれるからだそうです。癌細胞はエネルギーが不足すると生き延びにくいのですが、正常な細胞は断食でかえって元気になります。そのために、癌になると小食や断食で癌細胞をやっつける方法を推奨される先生もおられます。
食欲がない時に無理して食べる必要はない
体調不良で食欲がなくなることがありますが、それは老廃物を食べてくれる絶好のチャンスなのかもしれませんね。だから、食欲がない時には、体力をつけようと無理して食べる必要はありません。
体のお掃除をしてくれていると考えれば、食欲不振もうれしい症状なのかもしれません。
空腹時に免疫力が上がり、老廃物の排泄能力が高まっていると思えば、お腹がグーグーなっている時も体の嬉しい機能だと考えることができます。 いつまでも健康で若々しくいたいなら、小食にしてマクロファージのお掃除力をしっかり働かせるべきですね。
山田有希子(薬剤師・サプリメントアドバイザー・ナキュア代表)
薬科大学卒業後、薬剤師や美容アドバイザーなどを経て2001年
サプリメントショップを開業。個人顧客からメーカー企業まで幅広く事業を展開。
日本ニュートリション協会会員。