NO.47 飲み続けてはいけない薬
先日、兄から「○○というコレステロール薬を飲んでいるけれど、週刊現代に飲んではいけないと書いてあったがどうなのか…?」と電話がありました。
また、義母も「薬はきっちり飲まないと」と言っていたにも関わらず、週刊現代を読んだ途端、薬に否定的になり、薬を飲まなくなりました。
私は知らなかったのですが、週刊現代さんが「ダマされるな! 医者に出されても飲み続けてはいけない薬」などという特集をされていて、中高年の薬を良く飲まれている方がかなり購読されているようです。
今回は、飲み続けてはいけない薬というのは本当にあるのかどうか?についてお話していきます。
薬を飲んで「基準値内に数値がおさまっている」と安心するのは誤解!?
病院に行って薬を出さないお医者様はやぶ医者のようにいう患者さんもおられるくらい、日本人はお薬好きです。健康保険があるために、安く治療を受けられるせいか、ちょっと不調になればすぐに病院に行き、お薬をもらうことで安心する方がほとんどだと思います。
私も何度もご相談を受けてきましたが、そんな検査数値でどうして薬を飲むのかが不思議な方もたくさんおられます。すべてのドクターがそうではないとは思いますが、検査数値の基準値から少しでも外れると、薬を飲むことを薦めるドクターが多いように思います。
そして患者さんは、薬を飲むことで基準値内に数値がおさまれば安心するのです。
が、数値がおさまればそれで済んでいると誤解されている人が非常に多いことが問題です。
カラダに現れる症状には理由がある
薬は、あくまでも対症療法ですから、根本は何も改善されていません。一時的に抑えているだけですし、薬は必ず副作用が伴います。
私たちのカラダはバランスをとって命を維持しています。起きてくる症状には必ず意味があります。風邪で高熱が出るのは、カラダがウィルスと闘っているためです。闘うために、体温を上げる必要があるために高熱になります。それを薬でむやみに下げてしまうと、闘わないカラダになってしまいます。そうすると、何度も風邪をひくカラダになり、自分で治そうとするカラダから遠ざかります。
免疫力が低下すれば、もっと悪性度の高いウィルスを引きこむ可能性も増えていきます。
風邪をひくから薬を飲み、どんどん免疫力の低いカラダを作るからまた風邪をひく、そして薬を飲む、といった悪循環から逃れられなくなります。
シーソーの片方だけを押さえ続けるリスク
週刊現代さんが指摘されている薬もそうです。長期で飲み続ける薬はやはりリスクが伴うことが多いのです。
シーソーのようにバランスを取っているカラダの、ある部分を薬で抑え込もうとすれば、片方が上がります。別の部分のリスクが高くなるということにつながります。
必要な薬と、出されるままに飲み続けない方が良い薬
では、すべての薬が必要ないものかといえば、それも極端すぎる考えです。
他のリスクはあっても、カラダのために悪い症状を抑え込む必要がある場合があります。また長期で飲んでいる薬を急に止めると、リバウンドすることもあります。
血圧の基準値は、昔の基準から40~50も下げられています。これによって高血圧の薬は6倍以上も売れるようになりました。製薬会社もボランティアでは成り立ちませんから、一般の企業と同じように売上を上げることも必要なのでしょう。
洋服やバッグなどであれば、自分の判断で買うか買わないかと選択します。無理やり買わされるとか、販売員さんの言うがままと買うことはありえないと思います。
ですがカラダに関しては、皆さん自分の判断はほとんどなくなります。ドクターにすべてゆだねてしまいます。
薬を飲みながらカラダを放置していても治らない
私たちのカラダは常に健康であるために、バランスを取ります。
自覚症状はないのに、検査数値だけで病名をつけられ、それに納得して薬を飲むのではなく、カラダにもっと向き合うべきです。数値が高くなっているのには理由が必ずあります。食生活、生活習慣、ストレスなど、自分の間違っている点を正すことが先決なのです。本来薬を服用するのは、それからです。
楽して健康は手に入れられません。
年齢を重ねると、必ず不具合は出てきて当たり前です。不具合を自分で治さないで、すぐに薬に頼ること自体が間違いだと私は思います。
放棄されたカラダは、自分で治そうとはしなくなります。
週刊現代さんの「飲み続けてはいけない薬」特集は、ずっと薬を飲んでいるけど改善しないし、こんなにたくさんの薬を飲んでもいいの?と疑問をどこか持たれていた人に、大きな支持を得たのかもしれませんね。
山田有希子(薬剤師・サプリメントアドバイザー・ナキュア代表)
薬科大学卒業後、薬剤師や美容アドバイザーなどを経て2001年
サプリメントショップを開業。個人顧客からメーカー企業まで幅広く事業を展開。
日本ニュートリション協会会員。