NO.35 【市販薬による副作用】
病院でもらう薬より手軽なため、ドラッグストアで薬を購入して飲む人は多いと思います。
病院に行く時間がなかったり、わざわざ病院に行くのが面倒だと感じる人もいて、手軽に購入できる市販薬は確かに重宝しますね。
しかし、定められた用法や用量どおりに服用したにもかかわらず、深刻な症状が現れたケースがあるそうです。
消費者庁が2009~13年度の5年間で市販薬による副作用の報告数は合計1225例と発表しました。
うち死亡例、後遺症が残った症例がそれぞれ15例ありました。
一番症例が多かったのが風邪薬の400件、その次は解熱鎮痛消炎剤の279件。
さらに風邪薬で死に至った例がなんと8件もあったそうです。
市販薬には、使用上の注意が記された用紙が箱に入っています。
その中には、副作用が起こる可能性についても明記されています。
風邪薬については、眠気を起こすことがあるので車の運転はしないでくださいとか、喉の渇きや、だるさ、などの副作用も書かれています。
ですが、市販薬に関して副作用を意識されている方は、ほとんどいないのではないでしょうか?
一時的な副作用であれば問題はないかもしれませんが、重篤になる危険性もあります。
私ごとですが、子供が小さい時咳が止まらず、長期に渡って咳止めを飲んでいたことがありました。
ひどくはならないけれど、治る気配もなく、かと言って病院に行くこともできませんでした。
その時は、主人の転勤で大阪を離れていたため、近くに両親もいなかったのです。
2~3カ月、定期的に飲み続けていました。
そして大阪の実家に帰ってきた時に、子供を預け病院へ。
その時の血液検査の結果は、肝臓の数値が入院寸前ほどに悪化し、すぐに薬を止めるように言われてしまいました。
あのまま続けていれば、きっと肝機能障害を起こして入院するはめになっていたと思います。
薬剤師なのに、安易に考えていたと反省しました。
市販薬は簡単に飲んでしまいますが、副作用は必ず伴います。
重篤な副作用として例を紹介します。
アナフィラキシー
アナフィラキシーは、症状が出て、極めて短時間のうちに全身性にアレルギー症状が出ます。
これによって、血圧の低下や意識障害などを引き起こし、場合によっては生命を脅かす危険な状態になることもあり、この生命に危険な状態をアナフィラキシーショックといいます。
スティーブンス・ジョンソン症候群
スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)は、薬剤やウイルス感染、マイコプラズマ感染などが契機となり、免疫学的な変化が生じ、高熱や全身倦怠感などの症状を伴って、口唇・口腔、眼、外陰 部などを含む全身に紅斑、びらん、水疱が多発する疾患。
中毒性表皮壊死融解症
薬疹の中では最も重症であり、死亡率20~30%と考えられています。
皮膚だけでなく眼、口唇、陰部などの粘膜がやられるのが特徴で、初期からのこの粘膜症状が強い場合には、本症の可能性があります。
アスピリン喘息
アスピリンに代表される非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)あるいは解熱鎮痛薬によって、発作が引き起こされる喘息で、アスピリン喘息とも呼ばれます。
しかし、アスピリンだけでなく、ほとんどの解熱鎮痛薬が原因となります。
医療機関で処方される非ステロイド性抗炎症薬だけでなく、市販のかぜ薬や解熱鎮痛薬の多くにアスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬が含まれています。
また、ほとんどの痛み止めの坐薬、塗り薬、貼り薬などにも非ステロイド性抗炎症薬が含まれています。
症状は特徴的であり、典型的な発作では、原因となる医薬品を服用して短時間で、鼻水・鼻づまりが起こり、次に咳、喘鳴(ゼーゼーやヒューヒュー)、呼吸困難が出現し、徐々にあるいは急速に悪化します。
2012年11月19日放送の「クローズアップ現代」(NHK)では、解熱鎮痛剤を飲んだ後にスティーブンス・ジョンソン症候群を発症し、発疹や高熱で一時は呼吸困難になったが、一命を取りとめたものの、左目の視力をほとんど失うなど深刻な後遺症に見舞われてしまった女性の症例を放映していました。
薬はあくまでも対症療法になります。
根本を治すことはできません。治すには、病気と闘っている身体を応援するために、休息することが一番大切です。
どうしても休むことができない場合には仕方がないことですが、長期で連用することや、症状が出るたびに抑えることは、結局長引くことにもつながり、薬の毒の成分だけを蓄積していくことになります。
安易に薬に頼ることは止めた方が良いと思います。