【クレームの初期応対と解決のポイント】 Part2
日本ニュートリション協会では、健康分野の著名人の講演会や会員様同士の情報交換の場としての交流会など、アドバイススキル向上には欠かせない機会を提供しています。JNF会員の方は無料でご参加いただける毎年恒例の勉強会です。
JNF交流会では、これからますます増加するであろう「クレーム対応」について、講師:野乃山美紀先生(マネージメントサポートグループ 研究開発講師)よりクレーム対応の基本である、クレームとは一体どういったものなのか、どんな心構えで臨めば良いのか、そして基本的にお客様からクレームを頂いた時に、どういったステップを踏んで解決策まで誘導していくのかを分かりやすく解説いたしました。アドバイスに不可欠なクレーム対応、皆様のスキル向上に是非ご参考ください。
【支援的サービス】
支援的サービスのプロセスにはステップが3つあります。
●ステップ1 「相手の言い分を聴く姿勢の表明」
これは初期応対ともいわれます。ここで大切なのはまず、相手をしっかりと受容することです。この時に大切になってくるコミュニケーションスキルは「相手の状態、様子をしっかりと観ること」です。観るとは観察をすることです。顔の表情や声のトーンを観て、今の怒りや感情のレベルを察知します。基本的に初期応対は相手に合わせることが大事です。感情をあらわにして憤慨している方に淡々と事務的な対応をすると失敗します。同じように感情をこめて対応することです。また、冷静な態度の「ロジカルクレーマー」にはこちらも冷静に対応することが大切です。
初期対応では、お客様のお話を積極的にきちんと聴くことが大切です。「傾聴」です。傾聴スキルにはカウンセリングマインドが非常に大切になってきます。まず傾聴をするときの態度として「アイコンタクト」「相槌」「頷き」があります。相手の目をしっかりみて(アイコンタクト)共感的な姿勢で対応することです。そして、相槌や頷きを入れ相手の話を遮らず最後まで聴くことが大切です。相手の話を全部聴き入れてから、こちら側の話をするべきです。
協調的交渉を進めていく上で、対面で相手と向かい合うときは真正面に向かい合わないことが大事です。真正面に向かい合うとお互いに緊張します。この状態は対立的関係といわれます。この状態で話をしていくと、場合によってはどんどんお互いにムキになっていきます。勝ち負けになっていきます。「ですから」や「私が先ほど申したとおり」など言ってはいけないようなNGワードなども、つい口にしてしまいがちになってしまいます。ですので、真正面には向かい合わず若干右にずれます。そうするとお互いの視界が広がるので楽になります。アイコンタクトをとる際に、相手の両目を見て話しをしようとすると、お互いに威圧感を感じてしまいます。相手の片目だけを見ましょう。相手の鼻やネクタイの結び目を見ましょうとありますが、なるべく止めたほう良いです。目を見て話さなければいけない時は目を見て話すべきです。この時、相手の左目だけを見て話します。「左目アイコンタクト」といいます。そうすると違和感無く相手の目を見ながら話を聴いたり、話をしたりすることが出来ます。よくカウンセリングで使用される方法です。初期対応では相手を受容すること、傾聴をすることが大切です。
●ステップ2 「不満と要望を正しく把握」
まず、お客様からのご申告があった際に問診をしていきます。質問をしながら相手が今どんな状況にいるのか、要望や不満など、相手の潜在的ニーズを引き出していきます。問診をすることによって不満と要望を分析していくのです。然しながら相手の感情の浄化に努めないと、こちらの話に耳を傾けてもらえません。感情浄化に努めるためには必ずフィードバックをしながら共感や謝罪をしなければいけません。ここがクレーム応対の一番のポイントです。
アイコンタクト、相槌、頷きは、傾聴スキルとして非常に重要です。ただし、この傾聴スキルは基礎的スキルです。さらに重要になってくるのは「復唱」です。「復唱」とは心理学では「フィードバック」ともいわれています。相手の話の中から重要なキーワードを復唱することによって共感姿勢や受容姿勢が高まっていきます。復唱ができないと聞いたふり上手になってしまいます。復唱は相手の言葉をきちんと聴いていないとできません。相槌や頷きの後、復唱をし、さらに共感や謝罪の言葉を付け加えます。カウンセリングの技法のひとつです。共感や受容感がさらに高まります。復唱をすることによって何に対しての不満かを明確なのかが明確になります。聞き上手とは、フィードバック上手です。
●ステップ3 「解決策・情報の提示」
「解決策・情報の提示」は、相手に納得感を与える説明の展開ができるかということです。ステップ1、2はこの説明を聞いていただくまでのステップです。まずは、受容姿勢で相手の話をきちんと聴く姿勢を示し、質問をしながら相手の感情に配慮した言い回しを工夫していきます。その質問は「機能面」=問題の内容の質問からいきなり入るのではなく、まずは相手の立場に立った今の不満を吸収しやすいような質問から入っていきます。その後で具体的な機能面での質問に移っていきましょう。
クレーム応対の入り口の部分を是非理解していただきたいと思います。この入り口の部分で失敗してしまうと拗れてしまい、二次クレームに発展することが多々あります。クレーム応対ではこの導入段階が一番重要です。この傾聴スキルを覚えておいて下さい。一番のポイントはフィードバックできるかどうかです。 **** 講演後、サプリメントを取り扱う現場で起こる代表的な8つの事例を上げ、野々山先生のクレーム応対を実践しながら会員の皆様でステップ3「解決策・情報の提示」をディスカッションいたしました。皆様、真剣に組み大変勉強になる会でした。 JNF会員の皆様にとって今後の参考になりますと幸いです。