【クレームの初期応対と解決のポイント】 Part1
日本ニュートリション協会では、健康分野の著名人の講演会や会員様同士の情報交換の場としての交流会など、アドバイススキル向上には欠かせない機会を提供しています。JNF会員の方は無料でご参加いただける毎年恒例の勉強会です。
JNF交流会では、これからますます増加するであろう「クレーム対応」について、講師:野乃山美紀先生(マネージメントサポートグループ 研究開発講師)よりクレーム対応の基本である、クレームとは一体どういったものなのか、どんな心構えで臨めば良いのか、そして基本的にお客様からクレームを頂いた時に、どういったステップを踏んで解決策まで誘導していくのかを分かりやすく解説いたしました。アドバイスに不可欠なクレーム対応、皆様のスキル向上に是非ご参考ください。
【クレームの初期応対と解決のポイント】
講師:野乃山美紀先生(マネージメントサポートグループ 研究開発講師)
様々な企業からのクレーム対応の研修依頼がありますが、実際にクレームを受ける窓口の担当者の方々が、どうやって拗れさせないでお客様にご納得いただくか、というスキルを希望される研修依頼が殆どです。しかし、クレームと直接接点がある窓口の担当者のみがクレームの本質を理解しても、経営者側のクレームに対する考え方が、クレームは上にあげずに現場で処理をするように、クレームを無くすために研修を依頼するといった考えではその企業は伸びません。経営者、管理者の理念、クレームに対する考え方を変えていくことが本来あるべき姿です。いくら現場サイドが変わっても、会社の体制そのものが、クレームをきちんと吸い上げ、商品開発に転化させていくようなシステムが構築されない限り、いつまで経ってもクレームは無くなりませんし、クレーム=マイナスの考え方を変えなければ成長できないのです。
昨今クレームに対する考え方は、お客様側からみても企業側からみても変わってきました。以前はクレーム=悪であるというマイナスのイメージであり、クレームが無いこと、クレーム発生件数が少ないことが企業の自慢でした。ところが現在は情報公開が基本になり、インターネットの普及により、企業が隠そうと思ってもすぐに露呈してしまう環境にもあります。現在は企業がどのような姿勢で向かうのか、企業姿勢を問うといった風潮になってきています。クレームの応対によって企業姿勢が評価されます。クレームは隠さず、次回の商品開発に活かすという、マイナスではなくプラスに転化して臨んでいる企業はユーザーから評価されます。クレームは大切な宝です。クレームの種類は千差万別ありますが対応はできるものです。クレームを「処理する」という考え方ではなく「取り組んで活かす」という考え方が分かれ目になってきます。
では、クレームとは何でしょうか。クレームは「苦情」「不平・不満」「文句」とイメージされがちですが、本来は、お客様からの要求・要望が満たされなかった場合に発生する「お客様からの声」です。Complain=苦情ではありません。Claim=要求・要望です。CS(顧客満足)とは、お客様の期待を上回ることであり、期待値を下回ったことにより発生するのが一般的なクレームです。つまり、期待を下回った際にお客様が抱く「不満足」が一般的なクレームの原因といわれています。
・・・不満足←期待値→満足・・・
クレームに関する裁判事例からみると、多くは初期対応の失敗から大きな問題(過大要求、過剰要求)に発展しています。初期対応を改善することで「クレームを悪化させない」だけでなく、業務改善、CS改善、商品開発のヒントになります。お客様は怒り心頭で感情的になり、あまり情報が整理していない状態でワーッとおっしゃる事があります。 クレームでは、お客様のお申し出を大きく2つに分けることができます。 まずは、ああして欲しい、こうして欲しいといった「要望」です。そして問題が発生したことによってこんな風に困ったといったような 「不満」の2つです。
「要望」とは、訴えてくる事項の「機能面」の問題です。「不満」とは、問題が発生したことによるお客様の「感情」です。クレームの応対とは、この2つの問題解決をしていくといった姿勢で臨まないといけません。
例えば、サプリメントが変色していたというクレームがあったとします。原因としては、お客様が直射日光に当たる場所に放置していたことが原因でした。この原因、問題の内容が「機能面」です。お客様の保管状況が原因です。しかし、この機能面から説明するのではなく、 まずは相手の立場に立ってお客様の心情を理解し、共感や謝罪を表すこと」が入り口です。相手の心情を理解せず浄化しないままですと、お客様はますます頑なになり問題がこじれていきます。対立の姿勢になっていきます。
クレームを受けた際は、相手の立場に立った「共感的な姿勢」を示すことが重要です。いきなり機能面の説明から入ってはいけません。「機能面」に関しては、迅速な処置と納得感のある説明が求められます。この「機能面」の説明が最終目的にはなりますが、感情的になっている人はなかなか聞く耳を持ってくれません。まずは相手の立場に立ち心情を理解し浄化することが先決です。そうすることで相手側にも共感的な姿勢が芽生えてきます。
そうは言っても、クレーマーにも色々なタイプがあります。例えば「ハードクレーマー」は金銭的な要求をしてくる方、あるいは裁判を起す等訴えてくる方です。このハードクレーマーは全体の1%にも満たないと言われています。殆どの場合は、ある程度のクレーム応対のスキルを実践していけば解決策まで誘導することができるのです。クレーム=金銭要求、裁判という捉え方はなさらないようにして下さい。こちらの「ハードクレーマー」に関しては、交渉術などの違う世界になってきますので種類が違います。
クレームに一番多いのは感情を爆発させるタイプの方です。「どうしてくれるのよ。」「頭にきているんだ!」このタイプの方こそ、心情を理解することが大切です。まずは、共感的な姿勢を示し、相手の感情がある程度浄化してから、機能面に移っていきます。
しかし感情を爆発しない「ロジカルクレーマー」の方もいます。「いや、謝らなくていいから、明確な回答を出しなさいよ」といったような、冷静でネチネチとしたタイプです。感情を爆発させるタイプよりも難しいと言われています。こちらのタイプの方の多くは、上席の者からの説明や文書での回答を求めてきます。先に説明した「機能面」においての、ご自身が納得できるような説明を求めています。「ロジカルクレーマー」には、説明力を強化し相手が納得するような説明をしなければなりません。
以上のように、クレームとはまず「不満」と「要望」をきちんと見極め、お客様の心情面をサポートしてから、機能面に移っていくことが必要」なのです。
・・・続きはPart2で・・・