「米国の栄養成分表 “Nutrition Facts」 America Watcher Report
今回は私が栄養に関して「すごいな、アメリカは。」と思うことのひとつ、食品のラベルに載っている栄養成分の表示について紹介したいとおもいます。
米国の栄養成分表 “Nutrition Facts”は日本のものとどう違っているのでしょうか。(写真1:quoted pic)
一番の特徴は、すべての成分表示はserving size (一人分の分量)で表されているということです。(写真2: Serving size)
このserving sizeとは、米国人が一度に消費する分量の平均を基にして定められた単位で、例えばゆでた野菜ならカップ、はちみつは大さじ2、ジュースは3/4カップなどといった具合です。
日本のように100グラムという「質量」を使うのではなく、実際に家庭にある器具で量ることのできる「容積」で表示されています。
ここでさらに注目したいのが、この一人分を口にした際、最低限必要な一日の摂取量(Dairy Value)の何パーセントを取ることができるかを表示してくれている、ということです。
例えば私が愛飲しているインスタントのカプチーノのパウダー。
一人分は大さじ3です。
もし1回一人分を飲んだとすると飽和脂肪酸を2.5グラム取ることになり、これはちょうど一日に摂取してよいとされる量の13%に値するそうです。
1年ほど前に「地域と栄養」についての授業で、乳がんを患ったことのあるアメリカ人女性約20人に講義する機会がありました。
その冒頭で私たちが彼女たちに投げかけた質問は、「この中で、フードショッピングをする時、日ごろから栄養成分表示を見る人は何人いますか。」というものです。
およそ8割の人が手を上げました。
私たちの下調べによると、その場に集まった人たちは社会経済的に中流・上流階級に位置している白人で、ほぼ全員が「お母さん」です。
もちろん過去の病気の経験にもよりますが、彼女たちの栄養に対する意識の高さを感じさせられました。
さて、彼女たちはいったい何を知ろうとして栄養成分表に目をやるのでしょうか。
「だって、シリアルにしてみたっていろんな種類があるじゃない。だからどれがどう違っているのかなって思って。私はいつもなるべく脂肪が少ないものを探しているのよ。」成分表の中で、カロリーの次に書かれているのが脂肪量です。
総脂肪量、そのうちの飽和脂肪酸量とトランス脂肪の量、コレステロール量がそれぞれ何グラムか書かれています。(写真3: fats)
「私は脂肪より塩分量が気になるの。うちの主人は高血圧だからなるべく減塩されているものを買うように心がけているのよ。缶のトマトジュースなんてびっくりするくらい塩分が入っているんだから。私びっくりしちゃった。」脂肪の次は塩分(ナトリウム)の量です。(写真4: sodium)
「私はよくいろんな栄養素がはいっているオレンジジュースの成分表を見るわね。食物繊維とか、カルシウム入りとか、さらにビタミンDまで入っているものとかあるでしょう。
なんか得した気分になるのよね。」塩分の後に続くのが、炭水化物、そのうちの繊維の量、砂糖、たんぱく質、ビタミンA,ビタミンC,カルシウム、鉄分です。(写真5: other nutrients)
このようにアメリカの栄養成分表は見る人にとってわかりやすく、かつ実用的に書かれていると思います。
活発する議論とアメリカ国民の熱意が政府に伝わり、2006年1月より新たにトランス脂肪酸も成分リストに加わりました。
このようにさらなる詳しい成分表示を求める声は高く、米国の栄養に対する感心は今後も高まっていきそうです。
Reference
“Nutrition Facts Panel.”
No date. Online image. 8 Febuary 2007.
http://www.fda.gov/fdac/special/foodlabel/facts.html