ホットフラッシュの緩和にはホップが有効

ビール等の芳香苦味剤として知られる「ホップ」の抽出物を服用していた女性は、更年期障害の主症状であるホットフラッシュの発症率が低いことが、最新の研究で明らかになった。

ホップの胞子嚢穂には、ホルモン活性をもつフィトエストロゲン①が含まれている。ホップの主フィトエストロゲン「8-PN」は、体内のエストロゲン受容体と相互作用を行い、治療効果を及ぼす働きがあると考えられている。研究では、閉経前の女性約70名を3グループに分けた。グループAはホップ抽出物を120g、グループBは同じく300g、そしてグループCはプラシーボ(偽薬)を、それぞれ毎日摂取した。その結果、グループAとBの女性においては極めて急速なホットフラッシュの改善がみられ、特に実験開始直後6週間の効果は顕著であった。

この実験では、更に興味深いデータが観測されている。それは、最も著しいホップの効能が確認されたのは、グループBより少量の8-PNを摂取したグループAだったことである。この理由としては、一定量を超えたホップは体内の天然エストロゲン②の働きを妨げるからではないかと考えられている。


Hops May Relieve Hot Flashes

A new study found that postmenopausal women who took hops extracts had significantly fewer hot flashes, the main symptoms of the menopausal disorder.

Hops contain hormone-like substances called phytoestrogens. 8-prenylnaringenin (8-PN), which is the main phytoestrogens in hops, can interact with the body’s estrogen receptors and exert therapeutic effects. In the study, about 70 postmenopausal women were divided into three groups: group A took 120 mg of hops extract per day; group B took 300 mg per day; group C took a placebo. The results indicate that the women in both group A and B had fairly rapid improvement of hot flashes especially for the first 6 weeks.

Another noteworthy finding of the study was that the most pronounced effects of hops were seen in women in group A who had received the lower amount of 8-PN. The reason for the result might be that large amount of hops interfere with the effect of the body’s natural estrogen.

REFERENCES
Jeremy Appleton. (2006, Jan). Hops may improve hot flashes. New Hope .com, Retrieved Feb 4, 2006, from http://www.newhope.com/
伊藤正男・井村裕夫・高久史麿 『医学書院 医学大辞典』 東京:医学書院, 2003年.


① 植物に由来するある種の特異的なフラボノイド様化合物。ステロイドではないが、発情ホルモン活性をもっている。

② 人間の場合、いわゆる女性ホルモンにあたり、エストロン、エストラジオール、エストリオールなど約30種の天然エストロゲンがこれまでに発見されている。